一見、平穏そうに見える家庭でも、その内情がどうなっているかは、外部からはほとんどわからないものです。
なぜなら家庭とは、一歩扉の中に入れば、外の世界と遮断されてしまうからです。
こうした家庭内において、他人からは気づかれることがないまま、実は夫や妻からのDVに悩んでいる人というのは、意外と多いものです。
この記事では、DV加害者となる夫・妻の特徴、DV被害から抜け出す方法を解説しています。
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DV(ドメスティックバイオレンス)とは、配偶者・恋人・内縁関係の相手などの親密な関係にある、または過去にそのような関係にあった者から振るわれる、精神的・身体的な暴力のことをいいます。
DVは人の尊厳を侵害する重大な問題です。
人が安心し、自立した生活を送るためには、配偶者や恋人からの暴力は決してあってはならないことなのです。
配偶者暴力相談支援センターへのDV被害に関する相談件数は、令和2年度に過去最高の約12.9万件となり、その後は高止まりで推移しています。
令和5年度の相談件数は、約12.7万件で、前年度から約4%増加しました。(男女共同参画局による調査報告書参照)
この報告結果を見ても、DV被害で悩んでいる人の多さがうかがえます。
DVにおける〝暴力〟は、大きく3つに分かれています。
殴る、蹴るなど、パートナーの身体に直接何らかの危害を与えるものを指します。
一例として、
などが挙げられます。
言葉や行動によって、相手を精神的に傷つけたり追い詰めたりするものを指します。
生活費を渡さないなどの経済的暴力も、広く精神的暴力に分類されます。
一例として、
などが挙げられます。
性的なことに関わる手段で、パートナーに身体的・精神的苦痛を与えるものを指します。
一例として、
などが挙げられます。
配偶者や恋人からの暴力は、家庭の中で行われるため、外部から発見されづらく、潜在化しやすい傾向にあります。
また、加害者が自身の暴力を正当化し、罪の意識を持ちにくいことから、周囲が気づかないうちに暴力がエスカレートしやすいという特性があります。
特にモラハラなどの心理的暴力を受けた被害者は、恐怖を植え付けられ、自己評価が損なってしまいます。
それにより、より加害者への依存性を強化させ、被害が深刻化してしまうことが多いのです。
DVの原因を特定することは難しく、家庭内暴力の背景には多様な要因があるとされています。
例えば、「夫が妻を養う代わりに、ある程度高圧的な言動になっても仕方がない」といった前時代的な社会通念や、男女の経済的格差など、個人だけの問題として片付けられないような構造的な問題も大きく関係しています。
DVは、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生するものです。
しかし、DVの加害者には、一定の特徴・特性があるとされています。
DVを誘発する人物的なリスク要因は複数ありますが、ここでは特にDVと関連性が強いとされている特性を紹介します。
DVをする男性は、妻や恋人に対する支配欲が強い傾向にあります。
彼らは相手を支配するための手段として身体的・心理的暴力を用います。
なぜなら、暴力は相手を束縛・支配するために非常に有効な方法だからです。
DVをする男性は、暴力によってパートナーを社会的・心理的に孤立させ、行動を制限することにより、相手を監視し、支配しようとするのです。
DV加害者の男性は、しばしば自分の暴力を正当化し、パートナーへの被害を過小評価する傾向があります。
彼らは、自身が起こした暴力の理由として、
「パートナーが自分を怒らせるような言動・態度を取ったせいだ」
「パートナーが自分を追い詰めたからだ」
などと考え、自分の行為を正当化します。
そして、パートナーが受けた被害については、
「ちょっとおどかしただけなのに、大げさだ」
「パートナーはすぐにあざができる体質なのだ」
などと考え、被害を矮小化します。
DV加害者の中には、子ども時代に親から暴力を受けたり、両親間の暴力を間近で見た経験者が多い傾向にあります。
子どものときに暴力が身近にある家庭で育った場合、「暴力は容認された手段である」と誤った学習をしてしまいます。
そして、自分が大人になった時、同じような方法で、パートナーに接するようになってしまう「暴力の悪循環」が生じてしまうのです。
DV加害者の男性は、
「男性は女性より優位にあり、女性をコントロールできる地位にある」
という男尊女卑的な思考をする傾向があります。
また、男性・女性という「性」によって役割が分担されているという意識や価値観が強い男性も同様です。
「社会の重要な仕事を進めることは男性の役割だ」
「家事は、主に女性がやらなければならない」
「家庭の経済的な決定権は男性が持たなければならない」
という考えが強い男性は、パートナーの女性へ暴力を振るうことが多い傾向があります。
DV加害者の男性は、嫉妬心が強い傾向があります。
彼らは、パートナーが自分以外の異性とコミュニケーションを持つことを嫌がり、パートナーを束縛するための手段として、暴力を用いるのです。
中には、非現実的な妄想を膨らませて
「浮気をしているに違いない」
と、パートナーを理不尽に、なおかつ過度に責める者もいます。
女性であっても、DV加害者になり得ます。
DV加害者の女性も、上記の加害者男性と同様の特性を持っている場合も多くあります。
ただ、DVの加害者が女性の場合、加害者が男性の場合と比較して、身体的暴力よりも精神的暴力を用いたDVが多くなる傾向にあります。
ここでは、そんなDV加害者の女性の特徴を紹介します。
DV加害者となる女性は、他責的な考え方をする傾向があります。
何らかの問題が生じたとき、自分の思い通りにならなかったときに、
「相手が悪い」
「環境が悪い」
と、責任転嫁し、あまり内省することがありません。
そうした他責的な考えの中で、一方的にパートナーへの怒りを膨らませ、暴力や暴言に及ぶことがあるのです。
プライドが高い女性は、パートナーの些細な言動に過敏に反応し、「馬鹿にされた」「下に見られた」とすぐに思い込んでしまいます。
また、相手に意見されると苛立ち、ヒステリックな言動を取る傾向にあります。
思い込みが強い女性も、DV加害者になりやすいといえます。
パートナーと意見が対立したときなどに、
「自分は間違っていない。すべて相手が悪い」
と、強く思い込み、建設的な話し合いができない傾向にあります。
DVをする女性は、自分が満たされないのは相手のせいだ、と他責的な考えをする傾向があります。
「あなたの稼ぎが少ないから、私は欲しいものが買えない」
というように、パートナーを言葉で責め、精神的に追い詰めます。
また、性別役割意識が強い女性は、
「夫は稼いで妻を幸せにするべきだ」
という考えが凝り固まっている場合があり、そうした固定観念をパートナーに押し付けようとします。
DV加害者の女性は、気分屋で、情緒が不安定な傾向にあります。
パートナーは、こうした女性の感情的な言動に振り回され、疲れ果ててしまいます。
PMS(月経前症候群)を患っている女性の中には、ホルモンバランスの影響もあり、生理前により精神不安定になり、パートナーへのDVに及んでしまう場合もあります。
愛着障害や境界性人格障害を患っている人は、パートナーと対立したときや、相手から別れることをほのめかされたときに、
「自殺をする」と脅したり、
リストカットなどの自傷行為を見せる
などの行為をすることがあります。
このような行為も、相手を精神的に追い詰めるDVにあたります。
DV加害者は、バートナーに暴力を振るった後、「もう暴力を振るわない」と約束することが多々あります。
被害者はその言葉を信じてしまい、繰り返し被害を受けつつも、加害者と生活を共にしてしまうのです。
また、通常のDVケースでは、加害者は常に暴力を振るうのではなく、暴力を振るう時とそうでない時が周期的にくり返されます。そのため、被害者は「加害者の暴力が減少すれば生活も向上するだろう」という誤った希望を持ってしまい、DVから逃げる決断ができなくなるのです。
しかし、DVを受け続けていると、被害者の心身などにさまざまな悪影響が生じることは明らかです。
被害者はDVによる暴力により、怪我などの身体的な影響を受けるにとどまらず、PTSD(post-traumatic stress disorder:心的外傷後ストレス障害)に陥るなど、精神的な影響を受けることもあります。
DV被害によるPTSDの症状としては、
などがあります。
両親間の暴力を目撃したことによって、子どもにも様々な心身の症状が表れることがあります。
具体的には、腹痛などの不定愁訴(体への異常がないにも関わらず、さまざな症状を訴える状態)が出たり、不登校や非行などの問題行動が生じる、などがあります。
また、家庭内で暴力を目撃しながら育った子どもは、感情表現や問題解決の手段として暴力を用いることを学習してしまいます。
DV加害者は、パートナーを社会的に孤立させ、自分だけに依存させようとします。
などのDVを受け続けた被害者は、周囲から支援を受ける機会を逸してしまい、DVから逃げるのが困難になります。
そうした状況が長期間続くと、被害者は自尊心を失い、最悪うつ病などの精神病を患ってしまう可能性があります。
DV被害にあったとき、多くの被害者は一人で長期間思い悩み、誰にも相談できずに抱え込んでしまいます。
それは、被害者が「自分さえ我慢さえすればいい」と思い込みやすいというDVの構造的な問題でもあります。
しかし、DVは放置していても決して自然には解決しません。
第三者を介入させ、適切に対処しなければ、最悪の結末を招きかねません。
被害を止めるためには、被害者が勇気を出して助けを求めることが必要不可欠なのです。
緊急の場合は、110番通報したり、最寄りの警察署や交番に駆け込みましょう。
また各都道府県の警察署には、DVに関する相談を受理するための総合窓口を設置しています。
DV被害で悩んでいる方からの電話による相談にも対応しており、「警察相談専用電話(♯9110)」に電話すると、DVケースの相談に応じてもらえます。
各都道府県に、配偶者暴力相談支援センターが設置されており、DV被害者からの相談を受け付けています。
他にも、被害者の緊急時における安全の確保や一時保護、被害者が自立して生活することを促進するための情報提供などを行なっています。
同センターは、DVを受けている男性被害者の相談ももちろん受け付けています。
また、各都道府県に必ず1つ女性相談支援センターが設置されており、同法に基づき、配偶者からの暴力の被害を受けた女性を含め、困難な問題を抱える女性に関する様々な相談に応じています。
「#8008」に電話をすると、お近くの都道府県の配偶者暴力相談支援センターにつながります。
DV被害者の生命や身体を守る必要がある場合、裁判所において以下に挙げるような法的手続きを取ることができます。
などの事項を、DV加害者に対して命じることができます。
また、同居している交際相手からDVを受けているケースについても、法律を準用することで、保護命令が発せられます。
DV加害者が離婚に応じない場合、裁判所が離婚の手続きを仲介したり、離婚するかどうかを判断したりします。
このような法的手続きを取るとき、事前に弁護士に相談することで、手続きをサポートしてもらうことができます。
パートナーのDVが原因で裁判の手続きを取ることを考えている場合、裁判所に〝DVを受けた証拠〟を提出できるかが大きなポイントになります。
プロの探偵に依頼すれば、こうした証拠集めを代行してもらえます。
裁判所の手続きにおいて、相手がDVをした事実を正しく立証できれば、自分にとって有利に裁判手続きを進めることができます。
しかし、知識がないまま証拠集めを始めるのは、精神的にも負担が多い上、相手にばれる可能性があり危険です。
そこで、証拠収集のプロである探偵に依頼することで、確実に、また安全にDV被害の証拠を集めることができるのです。
特に裁判での証拠能力が高いとされている音声記録や動画記録についても、プロによる作業によって、安全・確実に証拠収集することができます。
当社では、DVに関するさまざまなご相談をお受けし、トラブルに対応しております。
お一人で悩む前に、まずはご相談だけでも、お気軽にご連絡ください。
ご相談は、お問合せフォーム・電話・メール・LINEにて24時間お受けしています。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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