タレントによるアナウンサーへの性加害行為疑惑に端を発し、局内全体の問題にまで波及した「フジテレビ問題」。
フジテレビが主導する調査では性加害疑惑とフジテレビがどのように関わっていたのか実態が明らかにならなかったとして、真相の究明に向けて第三者委員会が発足しました。
その後、第三者委員会が提出した調査報告書の中にはタレントとフジテレビ幹部社員によるメッセージのやり取りが掲載されており、問題の真相究明に向けた着実な一歩になったと評価されています。
このメッセージのやり取りですが、調査が開始される以前に2,000件ものデータが削除されていたと見られており、どのようなやり取りが行なわれたか詳細に知る方法はないように一見思われます。
しかし、データ解析の専門技術「デジタルフォレンジック」を使用することに、第三者委員会はメッセージのやり取りの復元に成功。
タレントがアナウンサーと接触するためにフジテレビ幹部社員とどのようなやり取りを行なってトラブルに繋がったのか、そのやり取りの一部始終を明らかにすることができました。
こうしたデータ解析技術であるデジタルフォレンジックとは一体どのようなものなのか、探偵目線から解説していきます。
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フジテレビを巡る問題で、第三者委員会の報告書には幹部の社員と中居正広氏の間で交わされたメッセージのやり取りが公開されました。
(中略)
「デジタルフォレンジック」とは、デジタルデータの「分析や鑑識」のこと。フジテレビの第三者委員会が生々しいメッセージを明らかにしていました。
本来は、パソコンやスマートフォンの中にある暗号化されたデジタルデータを文章や写真などに可視・証拠化することですが、最新技術では“削除されたデータ”までも特殊な方法で復元することができます。引用元:フジ第三者委で注目「デジタルフォレンジック」 削除されても解析 メールなど復元(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース
デジタルフォレンジックとは簡単に言えばデジタルデータの分析・解析ですが、現存するデータを調べ上げるだけでなく、削除されたデータであっても復元することも可能です。
このようなデジタルフォレンジックを利用することで、どのようなことが可能になるのかご紹介します。
今回のフジテレビ問題の第三者委員会によるデジタルフォレンジック調査の目的は、タレントによるアナウンサーの性加害疑惑の全容解明に向けた関連するデータの洗い出しです。
しかし、既に2,000件ものデータが削除された状況だと、全容解明に向けた情報を集めるのは難しいという印象が強いでしょう。
そこでデータ解析の専門調査機関が行なうデジタルフォレンジックによって、既に削除されたデータであっても、端末内に残っている形跡を元に復元して内容を確認することが可能です。
今回フジテレビの第三者委員会では、PCやスマホに残されたOutlook・Teams・LINE・ショートメール・OneDriveのデータを調査し、約2カ月の調査で22万件以上のデータを分析して問題の実態につながるメッセージのやり取りを見つけ出しました。
このように、例え削除されたデータであってもデジタルフォレンジックを用いて復元することも可能です。
デジタルフォレンジックによって、サイバー攻撃による不正アクセスの原因も特定可能です。
スマホやパソコンなどのデジタル端末には行動記録が残るため、いつどのような挙動をしたのかを調べられます。
その行動記録の中に不自然なものが見つかれば、その時点の通信履歴を解析することで問題のあるサイトにアクセスしていたり、怪しいデータをダウンロードしていたことが掴めます。
このように、不正アクセスがあった際に何が原因であったかも調べ上げることが可能です。
不正アクセスの経路がわかっても、既にマルウェアなどの不正なプログラムが侵入している場合、被害が自然に止まることはありません。
デジタル端末に対してデジタルフォレンジック調査を行なうことで、不正アクセスによって侵入したプログラムを特定することができます。
不正なプログラムは一目ではわからない端末データの奥深くに入り込むことがあり、自力で見つけ出すことは極めて難しいです。
しかし、デジタルフォレンジックによる専門的な解析で不正データと居場所を速やかに見つけ出し、削除することができます。
今回のフジテレビ問題の調査においてはデータの復元が主でしたが、もし残っているデータが何も問題ないように捏造・改ざんされたものであった場合でもデジタルフォレンジックによって解明可能です。
捏造・改ざんされたデータには特有の形跡が残ることがあり、これは表面的にはわかりにくく専門的な解析を行なうことで見つかるものになります。
デジタルフォレンジックによってデータを解析することで、そのデータが本物か捏造された偽物かを判別できるようになるでしょう。
近年ではより巧妙な合成技術であるディープフェイクが登場しており、より一層本物との区別がつきにくくなっています。
このようなディープフェイクの解析にも、デジタルフォレンジックの技術が活用できると考えられており、研究が進んでいる状況です。
削除されたデータであっても復元できるデジタルフォレンジックですが、現在の技術ではそれでも復元が難しいデータが存在します。
どのようなデータが該当するのか、確認してみましょう。
近年、特定のメッセージアプリではデジタルフォレンジックをかけても復元できないメッセージがあることがわかっています。
例えば「Signal(シグナル)」というアプリはメッセージをエンドツーエンド暗号化することで、従来よりも高いセキュリティ強度でメッセージを保護します。
このエンドツーエンド暗号化されたデータは、デジタルフォレンジックでも削除された場合の復元が難しく、やり取りの内容が解析できない可能性が高いです。
また、メッセージの履歴が24時間で自動削除される「Telegram(テレグラム)」のメッセージ履歴も復元が難しいと言われています。
しかし、これらのセキュリティ強度の高いメッセージアプリであっても、今後の技術の発達により解析できるようになる可能性があるでしょう。
問題のあるデータや通信の履歴があるスマホやパソコンを物理的に破壊されてしまえば、解析はできなくなります。
また、ハードディスクなどの記録媒体に強力な磁力を近付けることで内部を破壊して機能させないケースもあるでしょう。
あくまでデジタルフォレンジックが可能なのは、問題なく使用できるデジタル端末だけであることは覚えておくべきです。
当事務所でもデジタルフォレンジック調査の依頼を受けるケースはあります。
調査の目的は、スマートフォンやパソコンへの不正アクセスの有無を確認する調査や、データの復元など多岐に渡ります。
大体のケースでフォレンジック調査を活用し、ご依頼者の問題を解決可能です。
データの復元やお持ちの端末の挙動が少しでもおかしいと感じたら、ご相談ください。
当社の調査員が調査いたします。
監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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