
近年、サイバー攻撃のターゲットは中小企業にも拡大しており、犯罪性が強まっています。
そこでよく耳にするのが、ハッキングやクラッキングという用語です。
ハッキングとクラッキングは、一般社会ではしばしば同じような意味で使われがちですが、サイバーセキュリティの文脈において、これら2つの用語は明確に区別されています。
クラッキングが個人にもたらす被害は極めて深刻です。
機密性の高い個人情報が漏洩するリスクがあり、盗まれた情報は不正利用や金銭的被害に直結するでしょう。
さらに、クラッキングによってWebカメラを遠隔操作されたり、SNSアカウントを乗っ取られて家族や友人に不審なメッセージが送信されるなど、プライバシーの侵害や、自分が加害者となる二次被害に巻き込まれる可能性もあります。
本記事では、混同されやすい2つの概念の違いを明確にし、クラッキングの具体的な手口、そして有効な予防策についてくわしく解説します。
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ハッキングとクラッキングは、その目的と悪意の有無によって明確に区別されます。
本章では、それぞれの特徴を捉えながら、双方の違いを解説していきます。
ハッキングとは、コンピューターやシステムについて高度な知識と技術を持つ人々が、システムやプログラムの解析・改変・検証を行うことの総称を指します。
不具合を改修したり、性能や使い勝手を向上させるために改造することを目的としています。
システムの脆弱性を探って、セキュリティ上の欠陥を特定し、外部からの攻撃を受ける前にそれを修正。
セキュリティの強化や改善を目的として技術を使う人々を「ホワイトハッカー」または「倫理的ハッカー」と呼びます。
クラッキングは、悪意を持って行われる不正な行為のことであると、明確に定義されています。
具体的には、企業のシステムやネットワークなどに不正侵入し、情報を盗み出したり、データを改ざん・システムの破壊などの行為を指します。
クラッキングは「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」に違反する犯罪行為です。
不正アクセス行為と見なされた場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
ハッカーという言葉は本来、高度な知識を持つ人への敬称でしたが、知識と技術を悪用する人が出てきたため、一般的にクラッキングと同じようなネガティブな意味として認識されるようになりました。
そのため、不正な行為を行う者をクラッカーまたはブラックハッカーと呼び分け、セキュリティの向上に貢献する者をホワイトハッカーとして区別することが広まっています。
しかし近年、より正確性を重視し、悪意ある不正行為を「クラッキング」と呼んで区別する呼称も広がりつつあります。

クラッキングの手口は主に、以下の4つがあげられます。
それぞれくわしく解説していきます。
クラッキングの主要な手口の一つとして、ログイン情報(IDやパスワード)の窃取があげられます。
ログイン情報が盗み出されてしまうと、攻撃者はコンピュータシステムやネットワークへ簡単にログインすることが可能になってしまいます。
ログイン情報を盗み出すには、フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングという手法が使われます。
クラッカーは、銀行やSNS、ショッピングサイトなどの正規のサイトと酷似した偽のログインページ(フィッシングサイト)を作成します。
そしてこの偽サイトのURLを添付したメールやSMS、DMをユーザーに送り付け、ユーザーを偽のサイトに誘導。
ユーザーが偽サイトだと気づかずにログイン情報(IDやパスワード)を入力すると、その情報がそのままクラッカーへ送信され、認証情報が窃取されてしまいます。
これにより、アカウントが乗っ取られるリスクが生じます。
ソーシャルエンジニアリングは、ユーザーの心理的な油断やちょっとした行動のミスを狙って、機密情報を盗み出す方法です。
第三者になりすましてパスワードを聞き出したり、メモされていたパスワードを悪用するといった、人の隙や行動のミスを狙った攻撃が多いため、誰でも被害に遭うリスクがあります。
パスワードを特定するために、専用のツールやリストを用いて、総当たり的に解読しようとする攻撃が行われます。
主にブルートフォースアタック(総当たり攻撃)や、パスワードリスト攻撃といった手段が使われます。
この手法は、パスワードに使用されるあらゆる文字列の組み合わせを順番に試し、正解のパスワードを割り出そうとする攻撃です。
また、人間が手作業で試すと膨大な時間がかかりますが、クラッカーはパスワードクラッキングツールと呼ばれる専用のツールを活用し、効率的に認証突破を図ります。
総当たり攻撃が強引な方法であるのに対し、パスワードリスト攻撃は、パスワードとしてよく使われる文字列をリストにまとめ、攻撃する手法です。
現在では、IDとパスワードのリストがダークウェブ(闇サイト)などで売買されているケースもあり、攻撃者はこのリストを利用して不正アクセスを試みます。
クラッカーはマルウェア(コンピューターやネットワークに悪影響を及ぼすソフトウェアの総称)を用いて、情報を盗み出したり、システムをロックしたりといった不正行為を仕掛けます。
マルウェアを感染させる目的は、主に情報の窃取、遠隔操作、そして金銭の要求です。
マルウェアは主に、不審なメールや偽装されたソフトウェアをダウンロードすることによって感染します。
脆弱性またはセキュリティホールとは、ソフトウェアやシステムに存在するセキュリティ上の欠陥を指します。
クラッカーは、これらの脆弱性を悪用して、システムへの侵入を図ります。
特にセキュリティパッチが適用されていない古いシステムや未更新のソフトウェアは、攻撃のターゲットとなりやすいため、リスクが高いとされています。

クラッキングは上記のような手口を用いて、さまざまな被害をもたらします。
クラッキングを受けた際に想定される主な被害リスクは、以下の通りです。
それぞれくわしく解説していきます。
パスワードやクレジットカードの番号といった個人情報や、企業であれば顧客情報・経営情報などの機密情報が流出、または破壊されます。
データ改ざん・システム破壊などを目的として行われ、精神的な追い込みや、業務の停止まで追い詰めることがあります。
個人情報を抜き取られ、拡散されると、あなたの評判に傷がつく可能性があります。
また、第三者から共有されていたデータが流失したとなると、信用問題に発展することも考えられるでしょう。
クラッキングを受けたことで、法的責任や訴訟リスクが増大します。
社会的信用が大きく損なわれると、顧客離れや取引先との契約解除など、深刻な問題に発展する可能性があります。
サイバー攻撃を受けてシステムやコンピューターがロックされ、「これを元に戻して欲しければ要求を飲め」と身代金を支払わせられるケースが増えています。
企業の場合は、マルウェア感染が自社から取引先や顧客などに広がった際、被害者であると同時に加害者にもなり、損害賠償を求められる事態になりかねません。
また、クラッキングによって仮想通貨が不正送信され、被害総額が膨れ上がった事件も発生しています。

悪質なハッキング・クラッキングの被害を受けないためには、日頃から気を付けるべき点がいくつかあります。
それぞれくわしく解説していきます。
脆弱性診断の目的は、システムやソフトウェアのセキュリティ上の欠陥(脆弱性/セキュリティホール)を早期に発見し、必要な対策を素早く講じることです。
クラッカーはOSや、ソフトウェアに潜む脆弱性を悪用してシステムへの侵入を試みるため、定期的な脆弱性診断は、予期せぬセキュリティリスクを最小限に抑えるために不可欠になります。
脆弱性診断には「手動診断」と「ツール診断」の二つの手法があります。
セキュリティ専門家が手作業で行う診断で、ツールでは見つけにくい複雑な脆弱性を発見しやすいです。
また、誤検知が少なく、特定のニーズや状況に応じて診断内容を変えることができる柔軟性などもあります。
専用のソフトウェアツールを使用して、自動的に脆弱性を検査する方法です。
短期間で広範囲のチェックができ、診断のコストが低いことがメリットとされます。
ファイアウォール・WAFはセキュリティ機器であり、クラッキングを入口で防ぐためのものです。
ファイアウォールは、ネットワークトラフィック(ネットワーク上を流れるデータの通信料のこと)を監視・制御し、不正アクセスをブロックするなど、システムのセキュリティレベルを大幅に向上させることができます。
そしてWAFは、特にウェブアプリケーションに対する攻撃を防ぐためのシステムで、サーバーとアプリケーション間でHTTP通信を監視し、悪意のある攻撃を検知・ブロックするシステムです。
ただし昨今は、こうした対策をすり抜けて攻撃するケースも増えているため、あわせて不正アクセス検知システムの導入をおすすめします。
不正アクセスシステムを導入することで、攻撃の試みを自動的に識別し、即座に対応することが可能になります。
ネットワーク機器が初期設定のまま使用されている場合、クラッキングを受けるリスクが高くなります。
そのため、機器の設定を適切に見直すことで、ネットワークの安全性を高めることが必要です。
設定を見直すには、主に以下のような点に気を付ける必要があります。
これらの対策を適切に施すことが、クラッキングを効果的に防ぐための重要なステップとなります。
OSやソフトウェアの定期的なアップデートは、クラッキング対策の基本であり、システムを安全な状態に保つために不可欠な手段です。
アップデートを怠り、古いバージョンのソフトウェアやOSを使用し続けることは、クラッキングを受けるリスクを高めます。
OSやソフトウェアの開発者は、新たな脅威に対応するため、セキュリティホールを修正するための「更新プログラム」や「セキュリティパッチ(ソフトウェアやシステムの脆弱性を修正するための更新プログラム)」を定期的にリリースしています。
そのため、ベンダーから提供されるアップデート情報に注意し、基本的には常に最新バージョンへアップデートすることが推奨されます。
特に脆弱性に対するセキュリティパッチが出たときは、必ず適用する必要があります。

ハッキング・クラッキングの被害は高度化・巧妙化しているため、異常に気づいた時点で迅速に対応することが、被害の拡大や証拠の消失を防ぐうえで非常に重要です。
本章では、ハッキング・クラッキングされているか調べる方法をご紹介します。
端末がハッキングやクラッキングの被害を受けている可能性がある場合、端末の動作や挙動に異常なサインが現れることがあります。
これらの兆候は、不正なプログラムや、遠隔操作が裏側で実行されている可能性を示唆しています。
ハッキングされているパソコンは、裏でマルウェアやスパイウェアが動作しているため、突然パフォーマンスが低下することがあります。
デスクトップ上やブラウザに、不審な警告文や広告が突然表示される場合も、ハッキング・クラッキングされている可能性が高いです。
パソコンのWebカメラが自分の操作なしに作動している場合も、警戒が必要です。
これらのサインに気づいた時点で迅速に対応することが、被害の拡大や証拠の消失を防ぐうえで非常に重要です。
具体的な初動対応としては、セキュリティソフトによるスキャンと駆除、パスワードの変更、金融機関への連絡などが挙げられます。
また、不正アクセスの痕跡や盗まれたデータの範囲を正確に特定するためには、システムの復元や再インストールを行う前に、フォレンジック調査会社のような専門の調査会社に相談することが強く推奨されています。
見覚えのない履歴やログインの形跡は、特にユーザーのアカウント情報が盗み出され、悪用された際に顕著に現れます。
パスワードを変更していないのに、突然自分のアカウントにログインできなくなった場合や、見覚えのない不審なメッセージが勝手に送られているなどといったケースはハッキング・トラッキングの可能性があります。
クラッキングが行われていた場合、データ通信が通常の使用状況と比べて、異常な数値を記録することがあります。
ハッキングやクラッキングの被害を調査する方法の一つとして、サイバー攻撃・嫌がらせに強い探偵事務所に依頼することは、高度なサイバー被害や情報漏洩の実態解明に有効な手段です。
探偵はデジタル技術やネットワークの専門知識を持ち、調査活動を行います。
ハッキング・クラッキングの事実があるかという事のみならず、情報漏洩がどの範囲まで広がっているか、またどのようにサイバー攻撃を仕掛けられたかというようなことまで調査してくれます。

当探偵事務所では、一般的なセキュリティ対策やツールでは対応が難しい、高度なサイバー被害や情報漏洩の実態解明に特化しています。
主な3つのメリットについて解説していきます。
お使いのパソコンやスマートフォンなどの端末をお預かりし、解析調査(フォレンジック調査)を実施します。
この調査によりハッキング・クラッキングの痕跡を専門的に分析し、どのような手段で侵入され、どのデータが盗まれたのかを突き止めます。
一般的なウイルス対策ソフトでは、攻撃者の侵入経路や改ざんの痕跡、盗まれたデータの範囲までは特定できないことが多いですが、当探偵事務所であればこういった調査も可能です。
ハッキング・クラッキングの痕跡や証拠となるデータは、システムの復元や初期化を行うと完全に消去されてしまうおそれがあります。
これらの操作を行う前に専門家に相談し、必要な証拠の保全を行うことが重要です。
また、当探偵事務所では、調査結果を法的に有効な調査報告書としてまとめます。
後に法的な対応につなげることも可能になります。
ダークウェブとは、一般的な検索エンジンで検索できないWebページのことで、一般的なWebと比べて匿名性が高いとされています。
また、ダークウェブには特定のユーザーしかアクセスできない閉鎖的なコミュニティが存在するため、違法行為や違法取引が行われることがあります。
ダークウェブへの潜入は、マルウェア感染や個人情報が抜き取られる危険性などが高いため、大変危険です。
しかし当探偵事務所であれば、専門のセキュリティ対策を施したスタッフがダークウェブ上に潜入し、情報がどこに掲載されてしまっているか調べることも可能になります。
自らリスクを負うことなく、安心して調査結果を待つことができます。
調査結果に基づき、ご依頼者が巻き込まれる可能性のある犯罪リスクを共有し、必要な対策方法をお伝えします。
システムの脆弱性の特定も行うため、予防という意味でも活用いただけるでしょう。
また、将来的なリスクや再発防止のための、セキュリティ強化に向けたサポートも提供します。

クラッキングの被害を防ぐためには、多層防御を意識した複合的な対策が不可欠です。
その一つとして、クラッキング被害を予防するという意味でも、サイバー攻撃にくわしい専門家に相談することは有効な手段になります。
「最近パソコンの挙動がおかしい気がする……」「スマホに身に覚えのないアプリが入っていた」など、不審な点があれば、すぐにご相談ください。
クラッキングは、早期発見・早期対応によって、被害を最小限に留めましょう。
当探偵事務所は24時間365日、お問い合わせフォーム・メール・電話・LINEなど、無料相談窓口にて相談を受け付けています。
クラッキングによる嫌がらせ被害は一人で抱え込まずに、ぜひ私たちにご相談ください。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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