2023年1月16日、福岡県福岡市博多区のJR博多駅前の路上で会社員の女性が元交際相手の男性に殺害される事件が起きました。
事件の後、犯人の男性には以前警察から女性への接近禁止命令が出ていたことが判明。
しかし、接近禁止命令が出ているにもかかわらず、犯人はこの痛ましい事件を引き起こしました。
なぜ警察からの警告や命令があっても、被害はエスカレートしてしまったのでしょうか。
ストーカー・嫌がらせ専門の探偵目線から、この事件を防ぐための方法を解説していきます。
福岡市博多区のJR博多駅近くの路上で16日、福岡県那珂川市、会社員川野美樹さん(当時38歳)が刺殺された事件で、福岡県警は18日、川野さんの元交際相手で福岡市博多区冷泉町、飲食店従業員寺内進容疑者(31)を殺人容疑で逮捕した。「刃物で刺したことは間違いない」と供述し、容疑を認めている。 発表によると、寺内容疑者は16日午後6時15分頃、同区博多駅前2の路上で、川野さんを刃物で複数回刺すなどし、殺害した疑い。川野さんの死因は失血で、頭や胸などに切り傷や刺し傷が十数か所あった。 県警の捜査員が18日午前、博多区内の路上で寺内容疑者を発見し、博多署に任意同行を求めた。県警は寺内容疑者が所持していた刃物を押収しており、事件で使われたものかどうか調べる。 県警は昨年10月以降、川野さんから「(寺内容疑者と)別れた後も、つきまとわれている」などと複数回にわたって相談を受けていた。 寺内容疑者に口頭で警告したが、つきまといなどが続いたため、県警は同11月、ストーカー規制法に基づき、寺内容疑者に対してつきまとい行為などを禁じる禁止命令を出し、川野さんにボタンを押すと110番できる装置も渡していた。 禁止命令後にも、県警は川野さん宅を10日間、パトロール。今年1月6日には川野さんに電話し、特に異常はないと確認したという。 県警は「警察が取った措置は、法に基づき適切に対応したと考える」とした。
ストーカー被害の拡大に伴い、法整備が進んだ結果ストーカー行為を取り締まる「ストーカー規制法」が制定されました。
ストーカー被害の通報を受けた場合、警察はこの「ストーカー規制法」に基づいて対処を行ないます。
警察がストーカー被害の通報を受けたら、まずどのような被害を受けているか被害者に聞き取りを行ないます。
もし加害者が特定できている場合、その加害者に対して警告を出し、自身が警察にマークされていると認識させます。
警告を無視してストーカー行為に及んだ場合、被害者との接近を禁止する「接近禁止命令」を発令。
接近禁止命令を破ってもなおストーカー行為に及んだ際には、通常より重い罰則が科せられることになります。
令和4年度における全国のストーカー規制法に基づく行政措置において、警告は1,868件、接近禁止命令は1,744件出されています。
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引用:警察庁
特に平成28年のストーカー規制法の改正以降、接近禁止命令の件数が大きく上昇しています。
過去のストーカー事件では警察の対応の遅さが問題視されていましたが、それも改善傾向にあることが読み取れるでしょう。
接近禁止命令の発令件数は増えているにもかかわらず、ストーカー被害は根本解決できていないのが現状です。
なぜ接近禁止命令ではストーカーは止まらないのでしょうか。
実は接近禁止命令には期限があり、発令から1年間とされています。
発令してもなお危険な状態が続く限りは延長もできますが、加害者が1年間姿を潜めて期限が切れた途端に犯行を再開する可能性も否定できません。
こうした面も考慮すると、接近禁止命令は有効期限付きのお願いとも言えてしまう部分もあります。
一番のネックは、接近禁止命令自体の強制力がそこまで強くない点です。
もちろん、破れば罰則がより重くなるという点は、犯行を抑制する一定の効果はあります。
しかし、自分にかかる罰則を考慮できるほどの自制心が加害者にあるなら、そもそも警告を受けるほどのストーカー行為にはおよばないとも言えるでしょう。
今回取り上げた博多駅前のストーカー殺人事件も、接近禁止命令が出ているにもかかわらず起きてしまった悲劇です。
また、警告や禁止命令を受けたことで逆上して、被害がよりエスカレートする可能性も考えられます。
加害者の自制心ベースで出される警告は、ストーカー行為を止める決定的な対処とは言えません。
当事務所の考えとして、この事件を未然に防ぐことができたのかについてお答えしようと思います。
この事件を未然に防ぐには、どのタイミングでご相談いただけるかによって大きく変わってきます。
しかし、結論からいうと「未然に防ぐことは可能」です。
今回は、接近禁止命令を無視するストーカーの被害相談を受けた場合、探偵としてできることをお伝えします。
「携帯電話」と「避難場所」を提供し、被害者の安全を確保するために、頻繁に居場所を変えることを検討します。
接近禁止命令がでている状況であれば、自宅周辺に監視カメラを設置し、うろつきが確認できれば「重い罰則」を科せることができます。
ストーカーの行動や接近を記録するとともに、証拠収集を行ないます。ストーカーの行動パターンを把握することで被害者の安全を確保します。
ストーカーの存在や無視された接近禁止命令について周囲の人々に通知し、警戒心を持ってもらい、サポートや目撃情報を提供してもらいます。
重要なのは、自身の安全を最優先に考え、迅速かつ適切に行動することです。
ストーカー被害に遭っている場合は、専門家や地元の警察に相談し、適切な対策を講じてください。
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