Bullying case
非行とは未成年の素行の悪さや犯罪関与に近い言動を児童がすることだけではなく現代では大人が介入したいじめをする児童も多いと考えられます。文部科学省が主催した児童へのアンケートで特にSNSでの誹謗中傷や嫌がらせにあった報告数は小中高生でそれぞれ高い数字になっています。
いじめ研究はノルウェーのベルゲン大学でダン・オルヴェウズ教授が第一人者(※)です。ベルゲン研究ではいじめとは次にように定義しています。
「いじめはある生徒が繰り返し長期にわたってひとりまたは複数の生徒による拒否的行動にさらされている」場合、その生徒はいじめられていると定義されているということです。
どのような行為が加害行為となるかというと「脅し、侮辱、強要、悪口」など口頭によるものもあれば、「殴る、押す、蹴る、つねる、監禁する」など暴力を使うものもあります。
さらに、しかめっ面をしてみせたり、卑猥なジェスチャーをしたり、意図的に誰かグループから締め出したり、友だちとの仲をさくなど、「言葉の暴力を使わないものもある」とあります。
いじめは、物理的な攻撃や脅しだけではなく表情やジェスチャー、グループからの締め出しや友達の仲をさくなどの「言葉や暴力を使わないもの」も定義に含まれているのです。
文部科学省によるいじめの定義の場合、いじめが起こる場所は学校の内外を問わず、一定の人間関係のある者から心理的・物理的な攻撃があり精神的苦痛を感じているとすることはいじめに当たると解釈。
いじめに当たるか否かの判断は表面的・形式的に行なうことなく、いじめられたと感じる児童生徒の立場に立って行なうものとする、と広範囲に再定義しています。
いじめをなくす運動をしている「特定非営利活動法人オレンジハートリボン運動」の調査によると、平成29年度のいじめ実態の集計では児童414378人がいじめに遭遇しており、これは学校1校あたり11.1人相当のようです。
ですがこの数字はあくまでもいじめの認知数というもので、おそらく周囲に相談したり学校相談員などにいじめの告白をしていない児童は数に含まれていないということです。
現代のいじめの特徴はSNSを利用するもので、「他人が勝手にいじめの対象とした」特定の児童のアカウントを作成し、誹謗中傷したりグループラインから特定の児童を仲間外れにするなど、スマートフォンを利用したいじめというものが現代社会では問題になっています。
※ダン・オルヴェウスについて
ダン・オルヴェウス氏は、ノルウェー・ベルゲン大学健康促進センターの心理学教授で、長年にわたりいじめと教育の分野で研究を重ね、いじめの防止策について理論を提唱しました。
著書:「オルヴェウス・いじめ防止プログラム 学校と教師の道しるべ」(現代人文社)
非行の定義は、未成年者による犯行などを一般的に指します。
たとえば、万引きしたり集団で人を恐喝し財布を奪ったりお金を不当に請求したり人に暴行をふるったり、タバコあるいは飲酒、薬物やシンナーなどを吸い出したりすることも含めて非行といいます。
一昔前では暴走族やヤンキーも非行の代表とされていました。
このような非行に走る未成年者の理由は、今のところ「機能不全家庭」が原因ではないかと考えられています。
機能不全家庭とは親からの愛情の賜物である子育てや団らん、地域との関わりなどが充分でなかった影響が児童の性格形成に何らかの偏りが生じるというものです。
2019年に警察が取りまとめた非行の実態調査によると3人以上の少年の集まりを非行集団と呼びます。
少年犯罪の共犯率は成人の2倍以上も多く、犯行の内容は、特殊詐欺や大麻の乱用など暴力団やその構成員とのかかわりにより行なっているようです。
警察の調査では非行少年たちが集う場所だけではなくLINE、Facebook、TwitterなどのSNS等を利用していることが多いのでサイバーパトロールをする必要があるとし、スマートフォンを利用した犯罪は今後大きく注目を浴びることになるでしょう。
TwitterのPeing質問箱で匿名で本人に質問をしたり、LINEのプロフィール画面の文章入力でさりげなく本人を特定する悪口が書いてあったり、FacebookやInstagramでのストーリー機能を利用して24時間後に消されるように悪口を書いたり色々な方法があります。
重要なのは中高生がTwitterとLINEおよびInstagramを同時進行で使い分けていることです。一般的な友だちとのコミュニケーションツールとして利用されているので当たり障りがないツールに見えますが、ツールがいじめに利用されるといじめの対象になった児童はグループに入れなかったり悪口を陰で叩かれることも発生します。
2021年4月22日の産経新聞のニュースによるとインターネットで「闇バイトの実行役」を募り組織的な強盗をめぐり調査したところ強盗事件の95%が通信アプリ「テレグラム」を使用していたそうです。
「テレグラム」とは2013年にロシアで開発されたアプリでメッセージのやり取りが一定期間で自動的に消える機能を持ちます。この自動で消える機能を悪用することで闇バイトの隠ぺいを計画的に意図していたようで警察当局は警戒を強めているようです。
非行などの少年犯罪でも成人よりも罪がまだ軽いという理由で犯行側が積極的に未成年をこのような闇バイトに引き入れる可能性もないとは言い切れないでしょう。
SNSの非行問題のひとつは、相手を特定しづらいことが挙げられます。サーバー名などで相手を特定することは可能ですが、実際にそこまでいくのは一般の人ではなかなかむずかしいでしょう。学生であるならなおさらID特定は困難になります。
10代から人気のアプリで「質問箱」があります。匿名で質問できることを悪用し、アプリを持っているターゲットの児童に、直接的な悪口や、「性格悪そう」「嘘をついた」などの質問をして、それを見たほかのだれかがターゲットに悪い印象を持つように仕向けることができます。
誰の投稿か不明であるため、被害者児童にとっては犯人もわからず、一方的に風評被害を受けてしまいます。
SNS問題のもうひとつは、被害者児童が気づかないようにネット上で進行することです。
本人に気づかせないで第三者から指摘を受けることで、本人が精神的ショックを受けるように仕組まれています。
ターゲットの児童に対し、Twitterなどで正体不明の誰かがなりすましアカウントを作成されてしまうことがあります。
被害者本人は作ったわけではないのに、自分のアカウントということになっており、名前も中傷をに負わせるような名前で登録されているようです。
なりすましアカウントの投稿には、誰かの悪口や嘘といった内容が書かれていることが多く、あたかも「本人の発言」であるかのようになってしまいます。
どれもが笑えない内容であることが特徴的で、基本的にひとりのターゲットの児童に複数の加害者がいます。
SNSの非行問題のひとつは、いじめの証拠を残さないということです。コミュニケーションツール用のアプリの中には、ストーリーという機能があり24時間で消えるので、そのなかに悪口を紛れ込ませても一定時間がきたら文章は消えていくのです。
一定時間が過ぎれば、いじめの証拠が消えてしまうので、秘密文章を書くために悪用されているかもしれません。
またデータが削除されると、元のデータがないので証明ができなくなります。
警察の捜査によってスマートフォンから消された画像の復元などはできますが、現代の警察事情では残念ながら事が起きてから捜査に取り掛かる仕組みになっているのです。
つまり危険な状態にあう瞬間の現行犯逮捕でないと犯人を逮捕することができません。
非行に走る児童が自分で考えて犯行を行えるというよりも、犯行を促す大人が加害児童の背後にいる疑いを考える必要があるかもしれません。
いじめ事件の前例を分析すると、さまざまなSNSによる非行は最低3人以上の加害児童の繋がりを被害児童がもっていることが非常に多いからです。
ひとりですべて非行を行なうというのはあまり例がありません。
いじめの事件が発生しても、加害児童だけでなく加害児童の家族も被害児童へ謝罪することはほとんどなく、むしろ攻撃的に応戦してきます。
さらに、学校側も自分たちの保身のために事実を隠蔽しようとします。
したがって、SNSの特性を理解した大人が何をすれば証拠が残らないのか児童に指示をするという「計画的な犯行」の可能性があるかもしれません。
たとえば、日本において各区市町村の教育委員会ではいじめや自殺防止対策としてスクールカウンセラーを全中学校に配置し、児童やその父兄、教員が個別に人間関係を相談できる方針を取っています。
小中学校では学校相談員も毎日いるような環境で、気軽に児童が悩みなどがある時に相談できる部屋というのを設置しています。
海外では「ダン・オルヴェウズいじめ防止プログラム」などが校内に宣言文書としてあり、児童が他の子がいじめに遭っているのを見た場合、あるいは自分がいじめに遭った場合に家族や教員に話すことをプログラムとして掲げています。
いじめがあった場合の対策を徹底しているようで、いじめを開示していこうという姿勢は「いじめの深刻化」を軽減する狙いがありそうです。
学校そのものが社会的評価が下がることを恐れて、児童がいじめに遭遇したことを隠ぺいしようとする傾向にあります。
学校の隠ぺいが事実だとすると、いじめに遭遇した児童やその家族は対いじめ児童とその家族だけではなく、学校も相手にする必要が生まれハードルが高くなるでしょう。
学校内に配属されているスクールカウンセラーや学校相談員は、実際には教員からは自分たちと同格とみることはあまりなく、いくらスクールカウンセラーや学校相談員が生徒の味方になろうとしても、教員や校長及び教頭などの圧力から、被害者児童のためになるような行動がとれないという場合もあるそうです。
とても残念なことですが、学校側がいじめの問題を公にせず穏便に片付けようとすることがあるのは事実です。
警察では都道府県の警察内に少年非行センターや少年補導職員を通して児童相談所や各種機関と連携をとっています。
少年非行センターとは、次のような活動をしています。〔1〕少年相談活動〔2〕街頭補導活動〔3〕継続補導、立直り支援等〔4〕広報啓発活動などです。
スクールカウンセラーやボランティアを通して児童が非行に走るのをあらかじめ阻止したり、非行などをした児童の相談に乗って適切な社会生活を営めるように、指導しサポートしていくのが内容です。
中高生の非行防止教室も同じようなあらかじめ非行の種を取り除き「やってはいけないこと」を啓蒙しているようです。
ただSNSなどについては何かの対策をとっているわけではないので、スマートフォンを児童がひとりずつ持っている時代では、現在の非行防止策の内容だとどこまで効果があるのか掴めないところでしょう。
いじめや非行に共通して言えることは、家族にバレないように「隠している」ことで実態がつかめていないことが問題なのです。
自分の子供の変化を見逃さないように見守ってあげましょう。どうしても実態がつかめないがつかめない時は、専門家による調査も可能なのでお気軽にご相談ください。
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