相手の言う通りにしても責められる、逆の行動を取っても否定される――そんな逃げ場のないやり取りに苦しんでいる場合、背景に「ダブルバインド」が隠れていることがあります。
ダブルバインドは、矛盾した要求や評価を繰り返し受けることで、相手を混乱させ、強いストレスや自己否定感につなげやすいコミュニケーションの一つです。
職場、家庭、恋愛関係など、身近な場面で起こり得るため、違和感を覚えても気づきにくいのが特徴です。この記事では、ダブルバインドの意味、起こりやすい場面、受ける側への心理的影響、悪影響を減らすための考え方を分かりやすく解説します。
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ダブルバインドの分かりやすい事例として、子育てがあります。
例えば、子どもに「勉強しなさい」と言い付けておきながら、突然「お手伝いしなさい!」と命令すれば、子どもはどう行動すればいいのか混乱します。
その2つの命令を同時にこなすことは不可能だからです。
特に親子の主従関係は明確であり、コミュニケーションが一方的であることも多く、こうしたできごとが日常的に行なわれてしまいます。
ダブルバインドは徐々に子どもの精神状態をむしばみ、結果として具体的な指示がなければ何もできない指示待ち人間に育ってしまうことも。
深刻なケースでは、自己肯定感のない人間になったり、自分一人では何も決断できない発達障害を発症することもあります。
これは大人に関しても同様で、上司からのダブルバインドに苦しみ、自分を責めた挙げ句に精神を病むケースも後を絶ちません。
前出のベイトソン氏は「ダブルバインド」とは、次の6つの条件がそろった際に成立すると定義しています。
ベイトソン氏の仮設では、これらの条件が揃えば、どんな人間でも判断能力に悪影響を及ぼすとしています。
職場などでは上司と部下の間など、強制力のある形で理不尽な命令や脅迫などの「ダブルバインド」が見られます。
その他の場でも、何らかの力関係の上下がある所で発生することがあります。
つまり、日常的なやり取りの中でも起こり得るという意味です。
特に日本社会では空気を読むことを重要視し、組織風土の常識に染まることが良しとされる傾向にあり、ときとして、組織風土が世の中の常識や法律をも超越することさえあります。
その結果、悪意などとは無関係に立場的に有利な者が無意識のうちに周囲の人物を苦しめることにもなり得るのです。
暴力以外の言葉などで精神的ダメージを与えるハラスメント行為である「モラル・ハラスメント(モラハラ)」に、「ダブルバインド」の手法が併用されるケースも多く存在します。
上司に指示を仰ぐ時、上司が「いちいち聞いてくるな」と言っていたにも関わらず、自分で考えて仕事を進めた結果「相談もせず勝手に進めるな!」と怒鳴られたとしましょう。
そうなると、部下は次からどのように仕事を進めればいいかわからなくなってしまいます。
このような理不尽なコミュニケーションは部下に不必要なストレスを与える上に、組織全体ひいては日本経済全体として、労働生産力の低下を招いているといっても過言ではないでしょう。

洗脳する人は、人の弱さに付け込むことに長けています。
よって、自分のことを自分で決められない人の心の隙に入り込むことも得意です。
心を病みつつある人は、自責の念が強い上に相手の言い分を簡単に受け入れてしまうため、洗脳しやすい状態ともいえます。
例えば「できないのなら言う通りにやれ!」と言われた結果「自分はできない人間なんだから、言う通りにしよう」と思い込んでしまい、洗脳状態になっていく危険性があります。
「ダブルバインド」は職場のみならず、家族間でも起こりやすいです。
精神的な暴力は身体的暴力よりもわかりにくいため、それがモラハラかどうか気づきにくい側面があります。
特に家庭内での密室において、さまざまな矛盾に悩んだ結果、精神的に混乱して思考力が損なわれていきます。
そして、その環境下で生きるために加害者に逆らえなくなったり、自分を抑え込むことで相手の言いなりとなる洗脳状態となることも。
なおかつ、統合失調症や発達障害、鬱病などの精神疾患に罹患する可能性も高まります。
長期的なダブルバインドに伴う精神的なストレスによって、被害者側は「また怒られるのでは…」という恐怖から自分の判断や行動が全て間違っているのではないかと考え、自信も喪失していきます。
また必要以上に相手の顔色を伺うようになるので、自己肯定感や主体性も失われてしまいます。
さらに、何を信じていいかわからなくなるためコミュニケーションも構築しにくくなってしまい、重症になると適応障害を罹患することも。
パワハラやモラハラがまかり通っている職場は、精神的に病んだ従業員ばかりとなるブラック企業となり、当然ながら恐怖で支配される職場に生産性の向上など期待できません。
問題となっている悪徳新興宗教の霊感商法においても、このダブルバインドの手法が悪用されています。
「寄付か物品購入による神からの加護」か「地獄に落ちるか」の二択を迫ることで、信者を取り込んでいます。
そこに「逃げる」「その場から離れる」という選択肢を与えないことで、被害を大きくしています。
この手法は、新興宗教に限らず、さまざまな形の悪徳商法にも使われています。
おかしいと思いながらも相手の話を聞き、同意してしまいがちな人は思わぬ形でカモにされる危険性もあります。

グループストーカー行為において、ダブルバインドが心理的な攻撃手法として使われることがあります。
ダブルバインドとは、相反するメッセージを同時に送りつけることで、被害者がどう行動しても心理的に追い詰められる状況を指します。
このような状況は、被害者に強い混乱や無力感を与え、精神的な負担を増幅させます。
また、周囲との関係性を損なわせ、社会的孤立を深める結果につながることがあります。
ダブルバインドに巻き込まれると、何を選んでも否定される感覚が続き、自信や判断力が少しずつ削られていきます。そのため、真正面から「正解を出そう」と頑張り続けるほど、かえって苦しくなることがあります。
大切なのは、相手の矛盾に振り回され続けないことです。まずは「自分が悪いから苦しいのではなく、構造そのものに無理がある」と理解することが、対処の第一歩になります。
ダブルバインドを仕掛ける相手に対して、真正面から「矛盾しています」とぶつけると、さらに言い逃れや責任転嫁をされる場合があります。そのため、相手を言い負かすことを目的にするより、自分が消耗しない形へ整えることが現実的です。
また、長期間続いている場合は、自分でも気づかないうちに判断が鈍っていることがあります。混乱や自己否定感が強いときは、一人で抱え込まず、早めに外部へ相談することが大切です。


矛盾したメッセージや行動要求に混乱し、どうしていいかわからなくなっていませんか?
職場や家庭、特定の人間関係において、ダブルバインドに苦しむ方は少なくありません。
心理的な負担が蓄積すると、日常生活や人間関係に深刻な影響を与えることもあります。
当事務所では、ダブルバインドによる被害状況を丁寧に伺い、具体的な解決策をご提案します。
必要に応じて、証拠収集や専門家のアドバイスを活用し、問題解決を全力でサポートいたします。
一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
監修者・執筆者 / 山内(探偵業務取扱責任者)
東京都公安委員会 探偵業届出 第30210283号(東京都)。探偵業務歴20年以上。
嫌がらせ・ストーカー・対人トラブル・浮気不倫問題の調査実務に長年従事し、延べ多数の案件を担当。
証拠収集、調査報告書作成、警察・弁護士連携案件のサポートまで実務を担当し、探偵業法および関連法令に基づいた合法的な調査・リスク管理を専門とする。
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