2023年8月1日に、盗撮をしている人を咎める「盗撮ハンター」の3人が恐喝容疑で逮捕されました。
盗撮を止めることは善行のように思われますが、盗撮ハンターの中には盗撮していることをダシに恐喝を行なう人も存在します。
被害者にも自分が犯罪行為をしているという引け目があるため、表立って被害を訴えることが難しいのが現状です。
この記事では、盗撮ハンターの悪質性と対処方法を探偵目線から解説します。
女性を盗撮したと指摘して男性から現金100万円を脅し取ったとして、警視庁池袋署は、いずれも東京都内に住む26~34歳の男3人を恐喝と営利略取の両容疑で逮捕し、1日に発表した。警視庁は3人の認否を明らかにしていない。 (中略) 同署によると、3人は共謀して昨年8月18日午後5時35分~9時ごろ、東京都豊島区のJR池袋駅近くの路上で、女性を盗撮していたとみられる男性に対して「盗撮してたでしょ、認めなかったら警察に連れて行く」などと脅迫したり、付近を連れ回したりして「示談金」を要求し、現金100万円を脅し取った疑いがある。
盗撮ハンターとは、被害者とは何も関係がないながらも盗撮犯を捕まえようとする個人・集団を指す言葉です。
盗撮そのものは、2023年7月13日から施行された性的姿態等撮影罪という罪になる犯罪行為です。
これは被害者の通報が不要な非親告罪であるため、被害者以外の人物が犯罪行為を発見すれば取り締まり対象になります。
それを利用して、個人もしくは集団で盗撮犯を捕まえようするのが盗撮ハンターです。
最近は再生数稼ぎを狙ったインフルエンサー(YouTuber・TikTokerなど)が動画ネタとして行なうことも増えてきています。
盗撮犯を捕まえる善良な一般市民と、盗撮ハンターは区別して認識されています。
その一番の理由は、盗撮ハンターは盗撮犯から金銭を要求するのが目的だからです。
善良な一般市民は盗撮という犯罪行為を許せずに行動し、即座に犯人を警察に引き渡そうとします。
しかし、盗撮ハンターは犯人を警察に引き渡すことはせず、通報されることを恐れる盗撮犯に金銭を要求します。
盗撮犯も逮捕されて社会的な立場を失うよりは、お金を払う方がいいと考えて払うケースが大半です。
このように、正義の仮面をかぶってお金を奪い取ろうとするのが盗撮ハンターの手口になります。
今回の事件において、盗撮犯は100万円もの大金を示談金という名目で請求されました。
当事者同士が法律にまつわる争いをする場合に、被害者が受けた損害を金銭的に評価し加害者に支払わせて和解するためのお金
しかし、100万円という金額は盗撮の示談金としては適正とは言えない面があります。
ほとんどの場合、盗撮犯の示談金の相場は10万~50万円といわれています。
中には80万円にもなったというケースもありますが、100万円にまで上るケースはほとんどないと言えるでしょう。
もちろん、被害者の身体的・精神的苦痛を完全に数値化することはできませんが、それでも相場よりは明らかに高いです。
また、そもそも示談金は法律上の手続きによって支払われるため、個人間でやり取りする種類のお金ではありません。
そのため、口頭のみで示談金を請求された場合はほぼ金銭を脅し取る目的と捉えていいでしょう。
盗撮ハンターが個人的なやり取りのみで金銭を得ようする行為は、恐喝罪に該当します。
暴力や相手の公表できな秘密を用いて相手を畏怖させて、金銭などの財物を脅し取る犯罪(刑法249条)
盗撮ハンターは、盗撮犯の行なった犯罪行為を警察に通報することを匂わせて金銭を要求しているため、完全に犯罪の成立要件に該当します。
「犯罪者を捕まえたのだからいいのでは?」という意見もありますが、個々の犯罪は別個で考える必要があります。
犯罪を取り締まるために許される犯罪などありませんし、一般市民にそのような権限はありません。
もし盗撮ハンターによる被害を受けたなら、自分の行なった盗撮という罪にしっかり向き合った上で立ち向かう必要があります。
盗撮ハンターは、加害者と被害者を会わせるようなことはしません。
一番の目的は金銭の恐喝であるため、被害者がどうなるかは盗撮ハンターには関係のないことです。
これには盗撮犯と被害者が直接交渉することを防止する狙いもあります。
「被害者は仲間がかくまっている」と言われる場合もありますが、彼らの目的上被害者をかくまう理由がありません。
また、被害者と電話をして「お金を払えば被害届は出さない」と告げるパターンもありますが、だいたい指示役など別の人物と電話しているかそもそも電話の演技をしている可能性も。
それ以外にも、被害者と盗撮ハンターが結託して金銭を得ようとしている可能性も考えられます。
盗撮ハンターは盗撮犯を捕まえる際に「警察に連れて行く」などと告げる場合があります。
しかし、警察に連れていけば彼らの下にお金が入ることは無くなるため、連れて行くことはしません。
また、自らを「警察官」「私服警官」と名乗るケースもありますが、警察は職務を円滑に進めるために警察手帳を提示するのが普通です。
その上、警察手帳の提示を求めたら提示する義務があるため、提示できない場合は警察官ではないと判断していいでしょう。
盗撮ハンターはだいたいの場合、駅近くの公園や駅ホームの端、路地裏など人目につかないところに連れ込もうとします。
なぜなら、自分たちが恐喝していることを周りに知られたくないからです。
他にも、助けを求められないようにするという意味合いもあります。
用意周到に、自分たちの目的を達成するための方法を綿密に練っているのが盗撮ハンターです。
盗撮ハンターはその場でお金を準備させるように仕向けることが多いです。
そのため、どのようにすればお金を用意できるかの方法も知り尽くしているため、下記のような指示を出してきます。
など
盗撮ハンターは、盗撮犯からカメラやスマホを取り上げようとしてきます。
これは盗撮の決定的な証拠を確保したり、個人情報を把握して逃げられないようにするのが目的です。
通常、盗撮犯を通報する際には不要な行為であるため、このような行為が見られたら盗撮ハンターと認識していいでしょう。
また、盗撮ハンターにスマホのロックを外されて、パスワードを変えられてしまう可能性もあります。
盗撮ハンターは支払う金額を指定することはせず、あくまで相手に決めさせようとします。
なぜなら、特定の金額を請求する発言をすれば恐喝罪に該当してしまうため、自分たちで金額を指定しません。
「被害者にどうやって償うつもりだ」など情に訴えかける言葉を伝えて、盗撮犯から金額を言わせようとします。
これにより、あくまで「自分からお金を払った」という名目を作り上げることを狙います。
しかし、金額の大小にかかわらず畏怖させることで金品を獲得すれば恐喝罪にあてはまります。
盗撮ハンターは盗撮犯が逃げられないように、免許証などの身分証明書や名刺・社員証などを撮影しようとします。
個人情報を確保することで心理的なプレッシャーを与えて、金銭を出させようとするのが目的です。
このように個人情報を把握されてしまえば、後日になっても盗撮ハンターからの要求が続く可能性が考えられます。
また、犯行を認めたという証拠作りのために、謝罪文を読み上げる動画を撮影されることもあるでしょう。
数十年前には、探偵社が不倫相手に「写真を処分してやる」と持ち掛けるケースが見られましたが、探偵業法の健全化と守秘義務の強化により、現在はほとんど起こらなくなりました。
盗撮ハンターと名乗ると探偵のイメージが強いかと思いますが、「盗撮ハンター」は探偵社ではありません。
正義の味方を装い、撮影された一番の被害者に対しその事実を告げず、身勝手に盗撮者から金銭を巻き上げる恐喝集団です。
人の弱みを握った恐喝行為で、やっていることは更なる被害者を生み出す悪質な犯罪です。
このようなケースの目的の大半は「お金」です。やってしまったことを隠したい心理を利用した恐喝ビジネスです。
払うことは盗撮を認めたこととなり、それが弱みとなります。
しかも、一度払えばまた払うだろうと思われ、難癖をつけて何度も請求してくるでしょう。
被害者に誠意をもって謝罪するしか「解決の道」はありません。
まず、現状について相談することから始めましょう。
現在お持ちのお悩み事、盗撮被害の状況、盗撮対策依頼に関する質問や要望などのご相談が可能です。
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