
民主主義国家であれば、主権者である国民が政治に参加する方法は選挙になります。
国民が投票によって議員を選出し、当選した議員が国民の代弁者となって政治活動を行なうシステムとなっています。
選挙の候補者の選挙活動は街頭演説や街宣車での宣伝が主ですが、インターネットが発達してからはオンライン上での選挙活動も盛んになっている状況です。
しかし、インターネット上には真偽不明の情報が多く、特にSNSが普及して以降は情報の拡大スピードがより高速化しており、偽情報を基に選挙の投票先を選んでしまう人も少なくありません。
今回は、選挙に関連する偽情報が拡散される危険性を探偵目線で解説します。
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2025年7月3日、第27回参議院議員選挙が公示される。これに伴い、総務省の村上総一郎大臣は6月27日の閣議のあとの記者会見で、SNSを運営する大手企業に、偽情報を減らすための対応を要請したことを明らかにした。都議選でも戦争に関する明らかな偽情報が拡散され、その党から当選者が出るようなこともあった。マーケティングに長けてSNSを利用できる人が、史実を曲げた発言を堂々として選挙に挑む恐ろしさを感じた人も少なくなかったことだろう。
引用元:2000万円近い預金が30万円に…SNSの匂わせ投稿で誹謗中傷する女性と夫との「関係」(山村 佳子) | FRaU

日本でも、選挙が近付くとXなどのSNSでは選挙に関する情報が拡散されやすくなります。
しかし、そういった情報を鵜呑みにしてしまうことは様々な危険性をはらんでいます。
SNSで広まる政治的な情報については、基本的に拡散を行なったり好意的な反応を見せる人はその情報に対して同調している人が大半です。
そのため、政治的書き込みへの反応には思想を同じくする人が集まり、同じ意見の中で意見はどんどん先鋭化していってしまいます。
また、SNSには反応した書き込みと同じような内容の書き込みをおすすめして表示する機能が発達しているため、一度「いいね」やコメントなどの反応をすると画面上に表示されるのはどんどん思想を強める書き込みになります。
結果として、政治的思想の込められた書き込みばかりを目にするようになり、対照的な意見を取り入れて中立目線を得ることが難しくなってしまうでしょう。
SNSで広がる情報の大半は裏付けがないままに発信されているため、情報の裏取りは情報の受け取り手に委ねられてしまいます。
リテラシーの高い人は情報を受け取った瞬間に事実かどうかを確認するために公的な情報や一次情報(オリジナルの情報)がないか検索をして、見つからない場合はデマ認定をします。
ですが情報の裏取りを行なわずにそのまま情報を受け取ってしまう人は、偽の情報だと疑うこともせずに事実だと信じ込んでしまうのです。
また、同じように事実だと信じ込む人だけでさらに意見を白熱させ、疑いが入り込む余地がないほどに盛り上がってしまいます。
その状況を見た人は、例え事実だと確認できない情報であっても「これだけ多くの人が言うなら真実なのでは」と感じてしまう「エコーチェンバー」という心理的な現象に襲われ、同じように情報を信じてしまうでしょう。
真偽不明の情報が広がるメカニズムは、一部の事実の裏取りをせずに情報を信じ込む人とその盛り上がりに巻き込まれて同じように信じ込んでしまう人たちが増えることにあります。
現在、SNSや動画サイト上では「切り抜き動画」と呼ばれる数十分もの長尺動画やライブ配信の一部を抜粋して作られる数秒〜数分の動画が広まっています。
切り抜き動画は長い動画や配信の要点をかいつまんで見れることがメリットに挙げられますが、どの部分を切り取るかは動画を編集する人の判断次第です。
そのため、編集の仕方によっては実際の発言の記録した映像を使っているものの、発言全体の意味合いとは異なる恣意的な解釈ができるように誘導されるプロパガンダ的な利用をされてしまいます。
例えば「アレルギーなのでこれは食べられません」という言葉の一部を切り取って「これは食べられません」とすると、アレルギーという事情が無くなってしまうので受け取り方によっては単なる好き嫌いを伝えているだけとなるでしょう。
このような恣意的な編集によって前後の文脈を切り取られ、全体を聞くと筋の通った意見でもまるで重大な失言かのように勘違いされてしまいます。
また、長尺の文脈の通った動画よりも短い恣意的な内容の動画の方が拡散スピードも速いため、誤解の解消が間に合わずに広がってしまうことが多いです。
特に選挙の場合であれば選挙運動の期間は1週間ほどなので、その間に広まったデマ情報を解消するのは難しく、広めたもの勝ちの現状となってしまっています。

これまで説明してきたような偽情報による選挙への影響は、既に選挙結果を左右するほどに重大なものとなっています。
過去に発生した偽情報による選挙への大きな影響を解説します。
SNSが一般的なツールとなってから行なわれたアメリカ大統領選においては、いずれも偽情報の拡散が目立ち、その渦中には常に候補者としてドナルド・トランプ現アメリカ大統領の存在がありました。
2016年の大統領選では、トランプ氏の対立候補だったヒラリー・クリントン氏に関して「関係者が人身売買に関わっている」という情報が拡散されましたが、これが真実であるという裏付けはなされていません。
また、「ローマ法王がトランプ氏支持を表明した」という情報も拡散されましたが、これも真偽不明のデタラメなものでした。
他にも、新型コロナウイルスの蔓延により郵便投票や期日前投票が解禁された2020年のアメリカ大統領選挙において、SNS上は偽情報のオンパレードでした。
当時候補者であったトランプ氏に集まった票が不当に廃棄されているという画像付きの書き込みが急速に拡散されましたが、後にその画像は選挙当時のものではないことが明らかになりました。
他にも「亡くなった人の戸籍を使って投票が行なわれている」「不正選挙を止めるために軍が乗り込んだ」などの事実無根の書き込みが次々と拡散され、バイデン氏当選の報が出てからも不正選挙だと信じる声は後を絶ちませんでした。
アメリカという世界的にも巨大な国家のトップを決める大統領選挙であっても、偽情報の脅威とは常に隣り合わせとなっています。
2025年6月3日に投開票を行なった韓国大統領選挙では、精巧な合成技術「ディープフェイク」による偽動画の拡散が相次ぎました。
韓国ではこの大統領選挙の前年に、選挙に関連する内容の偽動画を流布した際に懲役刑を科すことを定めましたが、それでも実際に大統領選挙期間中の偽動画の拡散はとどまるところを知りませんでした。
削除要請も前年の総選挙の約400件から約1万件にまで大幅に上昇しており、偽動画の影響力の高さを思い知らされる結果となりました。
また、偽動画の存在を把握して削除するまでにはどうしても時間差が生じるため、削除に至るまで広範囲で拡散されてしまうことになります。
この韓国大統領選挙においてはユーチューバー3名が偽動画の流布で逮捕される事態となり、初の逮捕者が出たことで今後の抑止効果が見込まれるでしょう。
日本国内でも、偽情報による事実誤認などの影響は生まれています。
2017年の衆議院選挙において、当時総理大臣だった故安倍晋三氏は選挙活動最終日に東京都の秋葉原駅前で街頭演説を実施しました。
その際に、対抗勢力の支持層と思われる集団が安倍氏の選挙演説中に「帰れ」コールを発したことに対して、安倍氏は選挙妨害を行なったその集団に向けて「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言しました。
しかし、選挙妨害があった経緯の説明がされないままに発言だけが一人歩きして投票前日に炎上状態となりました。
結果としては自民党とは当時小池百合子氏が立ち上げた新党「希望の党」の台頭を許して議席数を少し減らしましたが、公明党を含めた与党勢力で3分の2の議席を確保したため、大勢に影響はなかったという見方はあります。
ですが、発言の経緯や文脈を切り取るだけで言葉から受ける印象が変わり、事実誤認に繋がる実例といえるでしょう。

探偵はさまざまな情報から真実を明らかにする仕事です。
偽の情報に踊らされないコツとは、一人ひとりが情報リテラシーを高め、常に疑いの目を持って情報と向き合うことです。
具体的には下記の点に注意しましょう。
情報の真偽判断には、発信者の意図や記事の構成まで含めた多角的な検証が不可欠です。
情報の神偽判断に不安がある人はご相談ください。
探偵が情報の取捨選択方法をお伝えします。

監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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