逮捕・監禁罪は、他人を不法に拘束する行為を指します。
この罪が成立する具体的なケースや、法的に定められた罰則について詳しく解説します。
日常生活でのトラブルを未然に防ぐために、逮捕・監禁罪の基礎知識<を身につけましょう。

「逮捕・監禁罪」とは、刑法220条に規定された、「不当に人を逮捕し、又は監禁した者」に課せられる罪です。
【参考:刑法 | e-Gov法令検索】
個人の行動の自由を守るため、他人の行動の自由を不当に制限する行為を処罰する内容になります。
相手からの承諾がある場合や、警察官による逮捕では罪は成立しません。
ポイントとなるのは「不当であるか」どうかです。
法令行為(私人逮捕などの刑事訴訟法上の逮捕など)や被害者の承諾がある場合には、逮捕・監禁罪は成立しません。
逮捕・監禁罪はどのような行動にあてはまるのでしょうか。
そもそも「逮捕」や「監禁」にあてはまる行動の定義も理解する必要があります。
ここでは、逮捕・監禁罪が成立する要件をご紹介します。
「逮捕」とは、人の体の自由を奪って拘束する行為です。
主に警察官が被疑者を捕まえることが逮捕と言われますが、一般人が人を捕まえて動けなくすることも逮捕になります。
警察官による逮捕は法律によって認められた行為ですが、一般人による逮捕は原則として認められていません。
ただし、現行犯の犯人であれば一般人でも逮捕が可能です。
「監禁」とは、人を一定の区域から脱出できない、もしくは脱出を著しく困難にする行為を指します。
監禁と聞くと、密室の中に閉じ込めることをイメージすることが多いでしょう。
しかし、監禁は物理的な遮断を必要としておらず、バイクの後ろに乗せることも監禁に含まれます。
また、開けた場所であっても暴力や脅しによって脱出できない状況にすることも監禁です。
ナイフや金属バット等の武器を見せて脅迫して行動できなくする行為も含まれます。
法律の範囲で適法とされる逮捕・監禁については罪に問われません。
例えば警察官の逮捕は、法律で認められた行為のため合法です。
また、酩酊状態など判断能力が失われた人の行動によって自傷・他傷行為が見込まれる場合も、社会的相当性の範囲として認められる場合が多いです。
しかし、基本的に他人の行動を許可なく制限することは逮捕・監禁罪の対象になると考えましょう。
逮捕・監禁罪は犯行を行った瞬間だけでなく、継続している間はずっと犯行が行われている「継続犯」という扱いになります。
そのため、もし他の人が不当な逮捕・監禁を行っている場面に途中から加担しても、同様の罪に問われます。
もし人の体を掴んで行動できなくしても、すぐに離せば逮捕・監禁にはならないケースが大半です。
過去の判例では、被害者が逮捕・監禁されている自覚がない場合でも逮捕・監禁罪に問われるのが通説です。
基本的に、移動能力を持つ人への逮捕・監禁はすべて罪の対象になると思っていいでしょう。
法的な意思能力を欠く人(精神病患者・認知症患者)や一時的に動けない人(泥酔者・熟睡者)だけでなく、自力でハイハイできる乳幼児も対象です。
逮捕・監禁罪の刑罰は、刑法220条で下記のように規定されています。
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
【引用:刑法 | e-Gov法令検索】
そして逮捕・監禁によって死傷者が出た場合は、傷害罪なども加味した「逮捕等致死傷罪」となり、より重い量刑となります。
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
【引用:刑法 | e-Gov法令検索】
逮捕・監禁罪にあてはまるのはどういったケースなのでしょうか。
ここからは、逮捕・監禁罪の対象となる主なケースを解説していきます。
誘拐自体は刑法224条から226条までで規定される略取・誘拐罪の対象です。
加えて、誘拐の過程で監禁が行われた場合でも、監禁罪が適用されます。
ただし、誘拐の中で監禁が行われた場合、より量刑が重い略取・誘拐罪だけが適用されるケースがほとんどです。
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
【引用:刑法 | e-Gov法令検索】
現行犯と遭遇した場合は、私人逮捕が刑事訴訟法213条で認められています。
しかし、刑事訴訟法214条では速やかに犯人を警察や検察に引き渡すことが規定されています。
検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
【引用:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索】
もし犯人を引き渡さない場合、逮捕・監禁罪が適用される場合がありますので注意しましょう。
対象者を一定の場所に閉じ込めることも、逮捕・監禁罪が適用されます。
「閉じ込める」という行為には下記のものが該当します。
しつけや遊びの範疇だったとしても、客観的に見て社会的相当性を欠くと判断された場合は適用されるでしょう。
今は減りましたが、借金の取り立てで自宅や職場に押しかける行為も逮捕・監禁になる可能性があります。
債務者が債権者に返済を行うことは当然ではありますが、行き過ぎた取り立ては行動の自由を奪います。
行動を制限するような取り立ては罪に問われる可能性がありますので、債権者の方は注意しましょう。
また、取り立てで債務者の仕事を妨害した場合は威力業務妨害になる可能性もあります。
美人局(つつもたせ)は、女性が男性と性的関係を持った後、女性と共謀する男性が脅しをかけて金銭を奪う恐喝行為の一種です。
また、性的関係を持たずとも女性との待ち合わせ場所に来た男性に脅しをかける手法もあります。
マッチングアプリの流行により、こうした美人局の報告も増えつつあります。
被害者のやましい気持ちにつけこむため、心理的に被害者が不利になりがちです。
ですがホテルの一室や路上といった場所を問わず、相手の行動を制限する時点で逮捕・監禁罪の対象になり得ます。
「相手は違法行為をしている」と認識して、毅然と対応しましょう。
自分の置かれた状況が「逮捕・監禁状態」と気づいた場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
ここからは、逮捕・監禁された場合の対処法についてお伝えします。
逮捕・監禁の規定は幅が広いため、自分がその場から移動したい意向に相手が応じてくれない場合は逮捕・監禁となり得ます。
そうなった場合は、「今の状況は逮捕・監禁にあてはまるため違法です」と明確に相手へ伝えましょう。
違法行為であると相手が認識すれば、すんなり解放してくれる場合が多いです。
もし違法行為だと意識させても解放に応じない場合、監禁罪にあてはまる状況が継続していることになります。
この場合、何かしら反撃を加えても正当防衛として認められる場合があります。
ただし、反撃が行き過ぎると正当防衛とはならない場合もあります。
再三の交渉でも解放に応じない場合は、正当防衛を取ることも考えましょう。
監禁罪が成立する可能性があります。強引な取り立ては状況次第で「不退去罪」「業務妨害罪」「恐喝罪」「器物損壊罪」などが問題になることもあります。
監禁にあたる可能性があります。騙されて乗車し、降車意思を示しても拒否され、脱出が困難な状況が続く場合は要注意です。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。監修者・執筆者一覧へ
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